我が家の原作沿いドラハーは友情以上、恋人未満な二人。
今後もう一つ書いてみたい話があるのですが、それが多分ドラハ最終話になる予定。
ドラコにとってハーマイオニーは初めてホグワーツでできたかけがえのない友達であり、決して誰にも明かせない秘密の存在。
例え、考えの足りない一年生の頃に数週間交友関係を築いただけとはいえ、父親であるルシウスに知られたら何をされるか分からない。そして、彼自身の寮内での立ち位置も脅かされることが分かっています。
ただ、やはり以前のように一人泣いていたら慰めたくもなるし、話をすると楽しくもなる。複雑な想いはずっと抱いていました。
そうして『似て非なる感情』辺りで(あれ、もしやこの想いは恋……? いやいや、ほんの少し嫌がらせをしてやりたかっただけだ)と自分の気持ちに気づきかけながらも蓋をするんですよね。
ハーマイオニーの方はといえば、やはりはじめての友達として特別な存在ではあるのかな。
鼻もちならない嫌味なヤツとは思っても『鏡像』で秘密の部屋事件のヒントをくれたことは察しているし感謝もしている。あとは、どれだけ口汚く罵ることがあっても、人を平気で傷つける極悪人という認識はありません。
そんな彼が【スリザリンの継承者】や【死喰い人】であることは疑う余地もなかったんです。
なのでドラコが直接手を下したわけではないけれど、ホグワーツに死喰い人やグレイバックのような凶悪な輩を招き入れたことを知り、【はじめての友達】だった彼はもういないのだと過去に決別をします。ハーマイオニーにとっては、そこが越えられない壁だったのではないかと……例え家族や自らの命が危険に迫ろうとも、より大勢の血を流す選択は望まないだろうと。
そして七巻でトリオがマルフォイ家の虜囚になった場面。ハーマイオニーはもはやドラコが自分達をどうにか助けてくれるという淡い期待すらも抱いていなかったと思います。ドラコが父親達の面前で何ができるかなど考えもしなかったはず。
ドラコとしては当然ハーマイオニーは助けたかった。けれど、蜂刺しの呪いで腫れ上がったハリーとは違ってハーマイオニーはバッチリ面が割れていました。ナルシッサはほぼ確信していましたもんね! 直接庇えば当然自分にも危害が及ぶことをドラコは知っていましたし、まして六巻で任務に失敗した前科がある自分が下手に動けば、命まで落とすかもしれない。自分だけではなく、両親にまで危害が及ぶかもしれない。そう思うと、ドラコは自分の発言の重みに倒れそうなほどだったのではないかと。
何の責任も負いたくない。だからこそ、投げやりな言葉しか言わなかったのだと思うんです。「僕……そうかもしれない……ええ」のセリフの沈黙にどれだけの葛藤があったのか。
その後、ベラに拷問されるために連れだされるハーマイオニーにロンが「やめろ! 代わりに僕を殺せ。僕を!」と言い放つんですよね。
このセリフを聞いた瞬間、ドラコはその瞬間まで貧乏で間抜けだと常々見下していたロン・ウィーズリーが自分よりもよほど高潔な人間だったと知って愕然としたと思うんです。自分の命を挺して誰かを護る。確かに大切な存在であったはずの【はじめての友達】すら庇えなかった自分はどれだけ矮小な人間だったのかと。
ドラコにとって、このセリフを聞いた瞬間が秘した恋の終わりではなかったのかと思うのです。
ロンとハーマイオニーのロマンスがハッピーエンドに終わったことを人づてに聞いたドラコは、自分自身の境遇と相まって絶望の淵に。
マルフォイ家は魔法界中から爪弾きに遭い、復学しても投げやりに……パーキンソン氏の意向で婚約は白紙に戻り、パンジーも逢いにこないことから『彼女が愛していたのは所詮名家マルフォイの御曹司だったのだ』と自分は無価値な人間だと塞ぎこみます。
ルシウスはなんとか純血の嫁を、と八方に手を尽くし、ここ数代財政が傾きがちと噂されていたグリーングラス家に白羽の矢を立てます。ただ、その相手はあくまでもドラコの同級生だったダフネ。娘はもう他に決まった相手がいるとけんもほろろに断られたルシウスでしたが、そこで怯まず、その妹アストリアを交渉相手に定めます。
すると、何故かすんなりと妹の方なら本人の意思を尊重するという返答をもらいます。
ルシウスの猛プッシュでアストリアをデートに誘うことになったドラコ。
実は【血の呪い】のことで家族から冷遇され、在学中も『呪いがうつる』と一部の心のない生徒達からいじめられたりもしていたアストリアは身体は弱いものの、芯の強い女性に育っていて、孤独なドラコを少しずつ癒していきます。
けれど、ルシウスがある日、アストリアが【血の呪い】にかかっていること。それが遺伝性のものでマルフォイ家の根絶に繋がりかねないことを知り、突如として交際を反対するようになります。その頃にはアストリアに心惹かれていたものの、絶対的な父親の言葉に反対の声をあげることもできず。
迷いを抱えたまま、街をさ迷い歩いていると偶然にハーマイオニーと再会。今にも卒倒しそうな顔色のためか、ハーマイオニーも迷った挙句にドラコと話をすることに。
とめどなく話をするうちに、ドラコはアストリアを捨てようとしている自分と、かつてハーマイオニーを救うことを諦めたあの瞬間を思いだします。ハーマイオニーとアストリアに似通ったところはないけれど、ハーマイオニーはマグルの出自、アストリアは血の呪い……それぞれ彼女達自身ではどうしようもない事実に苦しめられていることが同じなのだと思い至ったのです。
今度こそ、裏切ることはできない。ここでアストリアを捨てたら、もう僕は自分自身を赦すことはできなくなる。そうしてドラコは初めて父親に歯向かい、自分の意思を通すことができるようになる……そんな話をもうずっと温め続けているんです。いつか書きたい話ストック。
先日は拍手を頂いてありがとうございました……!! もうもう本当に嬉しくてありがたかったです~。私生活の諸事情でまだしばらくの間は更新できなさそうですが、たまにこうして妄想語りなどできればいいなと思います♪