拍手おまけ(過去)

背伸び

リドル×ジニー ジニーは買ったばかりの口紅を片手に、鏡と睨めっこしていた。硬いスティック部分に紅筆を撫で、そっと唇に落として、離す。 ここのところ周りに化粧をする子が増えてきた。眉をきれいに整えたり、アイメイクをして大人っぽく、きれいになっ…

つぼみのままでいて

ヴォルデモート×ベラトリックス 床の上に大の字に倒れたまま、少女は引き攣るように全身を震わせている。十になるかならないかの、幼い少女だ。よほど恐ろしい目に遭ったのか、目を大きく見開き、胸を大きく上下させている。顔にも首筋にも、じっとりとした…

リドル×ジニー「ねえ、トム……トムって、今【あの人】が何処で、何をしてるか分かるの?」 夢を見ているようなおっとりとした声で訊くジニーに、リドルは軽く笑った。「僕は彼の切り捨てられた【過去】の一部だから。分からないよ。どうして、そんなことを…

ドラコ×ハーマイオニー 私を引く手は冷たく、じっとりと汗ばんでいた。自分一人だけならもっと速く走れるはずなのに、彼は手を放そうとしない。私はいつ置き去りにされてもいいように覚悟を決めて、握る力を緩めているというのに。 雨に濡れた地面がうるさ…

諍い

シリウスvsビル 赤々と燃える暖炉の前に陣取り、ビルは酒を呷っていた。背中を丸め、ほとんど机に突っ伏すような形になっている。それも当然かもしれない。テーブルの上にある空き瓶はすでに二つ。もどかしげな手つきで三つ目の栓を開けた時、それまで黙っ…